むかし僕が死んだ家
著 東野圭吾
【あらすじ】
かつての恋人が父の遺品である鍵を持ってきた。その鍵は長野の山奥にある屋敷のもののようだ。幼き頃の記憶をなくした恋人、時間が止まった屋敷、張り巡らされた伏線が回収されていくのが気持ち良い。
悲しく切ないミステリー。
ネタバレを少し含みます。
自分が死んだ家に心当たりがある人はいるのだろうか。
主人公は義理の両親に育てられた家を自分が死んだ家と表現し、恋人は幼き頃に住んでいた家をそう表現した。
私は転勤族だったので転勤の度にリセットしている感覚があった。その時代を生きた自分を置いてくるようなもの。
昔の友人に会うこともあるけれど、何を話したらいいのか分からなくなる感覚があった。
その感覚と似ているのかもしれない。
自分の根幹はずっと変わらないけれど、その環境に適応するように調整してしまうので微妙にキャラクターが違う。
小さい頃は少しいい子を演じた。
そうすることでうまくいくことが多かったから。
でも苦しくなったり、自分の意見に蓋をしすぎてわからなくなることが多くなり、
大人になるにつれ、無理に取り繕うことをやめた。
できないことはできないと開示することは、自分も周りも楽になる。
いい子の自分が死んだ家は私にもあるかもしれない…